この記事では、J.S.バッハ「メヌエットト長調」(BWV114)の指使いをまとめてみます。
ピアノ初心者の方向けに「装飾音なし」の弾き方を紹介します。
慣れてきたら少しずつ「装飾音」を足していくとよいかと思います。
参考動画の紹介
「装飾音なし」で手元のみえる演奏動画がございましたので、紹介いたします。
わたしが演奏するときと、だいたい同じ指づかいとなっていました。
「右手」「左手」それぞれの指番号をみていきます。
*指番号のみ紹介です。楽譜はお手持ちのものを利用ください。
右手の指使い(J.S.バッハ「メヌエットト長調」BWV114)
曲は「A-B」(AABB)の構成です。
A
1段目
5 1234 | 5 1 1 | 3 1234 | 5 1 1
3小節目のあたま(ミ)は、
3,4,5あたり、どの指でもありかと思います
2段目
4 5432 | 3 4321 | 2 1231 | 32
3小節目のあたま「ファ#」は、2の指で「かぶせ指」をします。
1親指の上に、2をかぶせるイメージです
3小節目のファ#以降ですが、「1」でなく「2 3453 | 54」とできなくもないです。
ただし、「弱い指」とされている「3,4,5」を多用するため、前半に「1」のくぐし指をつかい「2 1231」とした方が、あとあとラクです。
3段目
1段目と同じです
4段目
4 5432 | 3 4321 | 2 3212 | 3
さいごの「ソファ#ソ」で、「2でかぶせ指」「3で(平らに)弾く」としますが、3でなく「1」で弾く人もいます
B
1段目
5 3453 | 4 1231 | 4 2341 | 3 23 1
1小節目のあたまで「3 1231 4 1231」としてもよいかと思います。
「5 3453」が弱い指ばかりで弾きにくいときに有効です。
4小節目のあたま「ド#」ですが、3の指で1の上にかぶせて弾いていきます
黒鍵の位置が高いので、かぶせるのはやりやすいと思います
2段目
123123 | 4 3 2 | 3 1 3 | 4
ニ長調スケール(音階)の指使いをつかう場所です
「ラシド#レ・・」3指の下に1指をくぐして「ド#レ」と弾きます
「ミファ#(ソ・ファ#・ミ)」ニ長調スケールでとなり同士の音なので(れみふぁ#そら・・)「23 | 4・3・2」と、となりの指で弾いていきます
「ファ#」を弾き終わったら、手首、手ごと低音の方に移動し、「ラ・ド#・レ」を弾くのがコツです
3段目
5 121 | 5 121 | 5 4 3 | 21345
前半は「レーソ」「ミーソ」の音幅が広いので、「5ー1」で取ります
「ソファ#ソ」1の上に「2」かぶせ指、で弾いていきます
後半は、ト長調の「となりの音」を弾いていくので、指も1つずつ「となり」を弾いていきます
「ラソファ#ソラ」では、1の上に「3」かぶせ指(ファ#)を使い、その後はとなりの「4、5」と平らに弾いていきます。
4段目
123123 | 4 3 2 | 351 2 | 3
ト長調の音階「レミファ#ソラシ | ド」のあと「シ・ラ」で戻った指で弾いて
「シレソ」は鍵盤1つ飛ばしなので「3・5・1」で弾き
「ファ#・ソ」は1の上に「2」かぶせ指で
締めの「ソ」は3でも1でもよいでしょう(音色が少々かわります。3はやさしく、1は固さと太さが出ます)
右手で「ト長調スケール」を弾いてみよう
のぼり
ソラシ ドレミファ# ソラシ ドレミファ# ・・・・
123(3の下に1をくぐして)1234(4の下に1をくぐして)123(3の下に1をくぐして)1234(4の下に1をくぐして)・・・・
慣れるまでは、くぐす時に、音のつながりが途切れてしまっても構いません。
くだり
ファ#ミレド シラソ ファ#ミレド シラソ・・・
4321(1の上に3をかぶせて)321(1の上に4をかぶせて)4321(1の上に3をかぶせて)321(1の上に4をかぶせて)・・・
「メヌエット」につかう音で、スケールと一致する部分があれば、はじめ〜終わりまでの指使いを、そのまま流用できます。
次は、左手の指使いです。
左手の指使い(J.S.バッハ「メヌエットト長調」BWV114)
A-B(AABB)の順に、左手の指使いを紹介します。
A
1段目
[135] 4 | 3 – | 2 – | 3 –
「ソシレ」の和音を、1、3、5で押さえるのは、指使いの基本です
その位置のまま、単音のところ「ラシー ドー シー」を弾きます
2段目
4 – | 5 – | 1 3 5 |1 5123
「レシソ | レ 」までは「ソラシドレ」=「5 4 3 2 1」のポジションをくずさないまま弾いていきます
「(低い)レドシラ」も1オクターブ分、手を拡げますが、上の指使いで異論はないと思います
3段目
2 – 3 | 4 2 4 | 1 – | 2 1234
「ソラシドレ」=「5 4 3 2 1」のポジションに収まっているため、この1対1対応をくずさないように弾いていきます
4段目
1-4 | 3-1 | 2 1 5 | 1-5
1小節目「ファ#」を「4」でなく「3」でとった場合はこうなります
1-3 | 2-1 | (以下同じ)
「ファ#〜〜ソーー」緊張→解決!の音にあたるのですが、
「4→3」の指にした方が、この2音の関係(緊張・解決)に似合った音色になりやすいです。
- 「ファ#」黒鍵は高い位置にあり、4指でも届きやすい
- 4指は、鍵盤への設置面が少なく、緊張感をもった音色にしやすい
- 4指は(3指とセットで)つっぱって使うと、かなりの強さをもった指にできる
この理由から「ファ#」はできれば4で弾けた方がよいでしょう
「3→2」はベストではありませんが、その後の指使いも大丈夫です
「緊張・解決」の表現がうまくいくのなら、3→2でも構わないと思います
B
1段目
1 – | 2 – | 3 1 3 | 1-5 |
1〜3小節目は、1〜3指で、ソ〜ミの音域を弾きます
4小節目はオクターブ跳躍ですので、1-5が自然です
2段目
1 – | 3 1 2 | 1 4 2 | 1 5 1 |
1〜2小節目「ラ→シ」では、1指の上に「3」をかぶせつつ、
「シレド」が「3 1 2」ポジションになるよう、手全体がわずかに右へ移動します
3〜4小節目ですが
「(下から)ファ#ラレ」の和音を、左手でおさえる場合
「4 2 1」とさわり、手全体の重心が安定するようにおさえます
この曲では上の3和音を、下から1音ずつ弾くので
「ファ#ラレ」「4 2 1」とするのが望ましいです
最後の「レド」は5-1です
3段目
3 1 3 | 2 1 2 | 3 4 5 | 1 –
「ソラシドレ」=「5 4 3 2 1」にポジションを置いて弾きます
「ドミド」だけ(ミのぶんが)足りないので「2-1-2」で弾きます
*白玉の2部音符は、2拍分、キープします
4段目
4 2 | 3 1 2 | 1 4 2 | 1 2 5
1〜2小節目+「ソ」
「ドレミファ#ソ」=「5 4 3 2 1」のポジションで弾きます
3(2拍目以降)〜4小節目
「4 2 1 2 5」または「3 2 1 2 5」で弾きます
ピアノ鍵盤に慣れてくると、3指(中指)が真ん中で安定しすぎていて、自由に移動しにくいタイプの指であることがわかってきます。
4指(くすり指)の方が、鍵盤との接地面を軸にして、ぐるぐると手首を回すことができて便利なので、「4 2 1 2 5」と弾くことになっています。
4指が弱くて力が入らず、使いにくい場合は、「シ」は3指で弾いてもかまわないでしょう。
まとめ
バッハのメヌエットト長調、右手・左手の指使いを紹介しました。
両手での弾き方ですが
- 右手だけ、左手だけで、それぞれ全部弾けるように→両手で合わせる
- 1小節ずつ、1段ずつ、さいしょから両手で、丁寧に合わせる
どちらでも構わないと思います。
片手ずつ、両手で、それぞれ弾いてみて、ストレスなく進められる方で合わせていきます。
コツは、1小節、1音など少しずつ、ゆっくり確かめながら進むことです。
録音した片手に、もう片方を弾いて合わせる方法もありますよ。